価値が変わったものをかき集めてみた

外食の配達サービスが一気に利用されるようになった。店頭で1000円のメニューが配達されると1500円などということもある。それでも十分受け入れられている。ネット販売の黎明期、送料の抵抗にあった者の一人としては、時代は変わったなぁと隔世の感がある。そこで、かつては価値を認めてもらえなかったもの、そしてその逆もあるのだろう。例えば、スーパーのショッピングバッグにお金を払うなんてことは、以前は想像できなかった。まぁ、そんな話である。

まずは、その送料の話だ!

ネットショッピングの袋がいくつか並ぶ

ネット販売の黎明期、送料に抵抗のある消費者がかなり多かったのだ。私がネット販売を始めたのは、20世紀も終わり頃である。楽天市場が動き始める直前であった。最初は自分のサイトで試みたのだが、当時、1000円の楽譜を売るのに、600円程度の運賃がかかった。この額は当時の消費者にはかなり抵抗があって、なかでも一番抵抗が大きかったのは東京の消費者だ。電車にちょこっっと飛び乗れば、なんでも目で見て買えた東京では通販が馴染まなかった。私が子どもの頃、まだ御用聞きが回ってくる家があり、野菜など帳面につけて月に1回まとめて払っていた。商品の送料が受け入れられるのに時間がかかったのは、そんな名残だろうか。電車代は払っても、送料は払いたくない人が多かったのだ。

ネット通販のもうひとつの壁

ネット通販には、もう一つ壁があった。送金の手数料である。今のように、クレジットカード決済システムが選びたい放題ではなく、実店舗をもっているかどうかが審査に影響した。また、運良く契約ができたとしても、売手からみれば、できれば手数料はお客さんに負担してもらいたい。今も、「5000円以上でお願いします」というようなクレジットカードで使える下限を決めている店もあるが、今となっては、クレジットカードの手数料を負担して、つかわせてやってるという上から目線以外には、負担の小さい方を断る合理的な理由を私は思いつかない。

脱線したが、集金のための手段は限られていた。一番よく使われたのは郵便局だ。行政書士会の会費などは今もそうなのだが、商品と一緒に郵便局の振込用紙を送付し、振り込んでもらう方法である。なかには、気にせず銀行振込をされる方もいたが、1000円、2000円の書籍の送料が600円、振込手数料も600円、本体の値段を超えてしまうこともあったのだ。クレジットカード決済を誰もが導入できるようになったのは、それほど昔のことではない。

日本茶と水も無料だった

小学校の水飲み場

サントリーの缶入りウーロン茶がでたのが1981年だそうだ。よく覚えているが、それまで普通の人の感覚は、紅茶はともかく、お茶はただだったと思う。ウーロン茶だから売れたので、まさか普通のお茶が売られるようになるとは当時思わなかったのだが、すぐに伊藤園から緑茶が登場することになる。

お茶ですらただと思われていた時代である。ましてや、水などにお金を払う人がいるのかと言われたものだ。私が小学校の頃、60年代のことだが、水飲み場の蛇口が飲みやすいように上を向くようになったのは画期的だった。それまでは、蛇口の下に頭を突っ込んで斜め上に口をもっていって飲んでいた。ウォータークーラーからはじめて水を飲んだときも衝撃的で、冷えてるだけで美味しく感じたものだ。バブルの頃、エビアンやコントレックスなどおしゃれな水が話題になり、あっという間にペットボトルの水は市民権を得た。今や、蛇口に口をつけて水を飲む人など皆無だ。

無くなった「冷やし料」と「瓶の回収料」

飲み物の話のついでに、無料になったものの話だ。1970年代までは冷やし料というのがあった。酒屋の冷蔵庫で冷えているビールを買うと、冷やし料が5円上乗せされたりした。いまやビールの瓶は家庭では資源ゴミだが。その昔は、酒屋に持っていくと10円くれた。日本酒の瓶は少し安くて、5円だった気がする。瓶はきれいに洗われて再利用される。SAPPOROという刻印の入った瓶に、キリンのラベルが貼ってあったりした。(ちなみに飲食店では酒屋さんによっては瓶代を返してくれる)私が小さい頃は、鍋をもって豆腐を買いに行ったのだが、70年代から80年代にかけて、飲料、食品の容器というのは、清潔さということもあって使い捨てがあたりまえになっていく。スターバックスができたころ、環境に対する意識がかわったのだろう、マイ・タンブラーが流行り、そして、また忘れられた。

電話回線も売れた

古いダイヤル式の黒電話

新規で電話を引くとき、もちろん固定電話の話である、施設利用権を購入する必要があった。加入権と呼んでいたと記憶している。私が覚えているのは7万2千円である。引越の時は、その回線も引っ越すことになる。昔は財産の1つで、普通に売買されていた。

実は、今もあるらしいのだが、そんなものを使わなくても、固定電話はひけるので、その存在自体しらない人もたくさんいるだろう。ヤフオクなどでは数千円で取引もされているらしい。あえてアナログ固定電話のメリットといえば停電になっても使えるということなので、大規模な事業所などは1つは緊急用に置いておくというような使い方もあるのだろう。もっとも、2024年にはアナログ回線の固定電話はなくなるので、そのメリットもなくなる。携帯電話の通信量はびっくりするほど安くなっている。

行政サービスは有料化の傾向

すぐに思いつくのは老人医療費である。1973年に70才以上の方の医療費は無料化されたが、わずか9年後には、再び有料化され、その後負担額は増加し、介護保険まで登場したのだから、いったいなんのための無料化だったのか、よくわからない。そういえば、粗大ゴミも、まだ無料のところもあるようだが、基本的には有料化が進んでいる。逆に、いつか無料になるはずだった高速道路のほとんどはまだ無料化されていない。こと、行政サービスに関しては、いつのまにかお金をとられても、ほとんど文句を言う人はいない。日本人は辛抱強い。

そういえば印紙税も払う機会が随分減った。実は個人経営の場合だけだが、行政書士は領収書の印紙が免除されている。私の事務所は法人なので支払う必要があるのだが、データ発行の領収書には印紙税はかからない。紙の領収書を必要とされる方はほとんどいないので、事務所に印紙は準備していない。会社設立の時の定款もそうで、電子定款であれば印紙は必要ない。それだけでも4万円かかることを考えると税収には随分影響しているだろうなと思う。あれこれ、有料化するのものその反動だろうか。

これからはどうだろう!

これからも大きく価値観がかわるものはたくさんあるだろう。無料化でいえば、音楽や映像の世界は、お金の配分が大きく変わりつつある。私が中学生の頃、アルバムレコードはⅠ枚2000円、高校生の時には3000円以上になっていた。それでもお小遣いをつぎ込んで毎月購入していたのだ。今や、Apple music など2000円もかかわらず聴きたい放題である。映像もそうだ。一方、テレビがいつまで無料でいられるかは微妙である。見たいものを見る、聞きたいものを聞くのなら有料でも良いと思う視聴者聴取者は多い。DAZNで見るスポーツ中継などもそのひとつだろう。

私は、なんだかんだと60年以上生きてきたので、随分といろんな価値の変遷を見てきたわけだが、これからも物の価値は変わり続けるだろう。変わらないのは、人間の本質だけのようである。ウクライナとイスラエルのニュースを見ながらそんなことを思った一日である。

サブスクリプションを楽しむイラスト
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