「不適切にもほどがある」浅草のじいさんたち

私は風呂好きである。とくにでかい風呂が好きだ。銭湯も好きだが、 最近はもっぱらジムの風呂を利用する。私が通うジムには、サウナとミストサウナまでついた、ちょっとした銭湯並の風呂がある。ジムにもご挨拶程度には通うが、もっぱら風呂が楽しみで通う。銭湯代わりに使っているのは私ばかりではない。特に、70、80の大先輩方はほとんどが風呂専門である。最近、80年代からタイムスリップするドラマが話題だが、その年代の諸先輩たちは、まさにテレビドラマを地で行くような会話をする。風呂での会話が「不適切にもほどがある」のだ。そんな爺さん達の話だ。

とにかく口が悪い

この人たちの口の悪さと言ったら筋金入りである。毎日のように顔を会わすので、たまに2,3日欠席しようものなら大変である。「おー、生きてたか、、香典持ってこうかと思ったよ」が定番の挨拶である。たった2,3日で殺されたんではたまったものではない。一応フォローも入れるのだが、「おい、最近腰がいてぇんだよ、棺桶担げねぇからもうちょい元気でいてくれよな」と、あまり慰めにはなっていない。

ハラスメントも放送禁止用語もお構いなし

手術などで数日入院してでてくると今度は「おい、××者」とあっという間に××者扱いである。このブログでも、このシュチュエーションで、こんな風に、この言葉を使うのは後ろめたいので、伏せ字にさせてもらうが、おじいさん達はお構いなしである。実に「不適切にもほどがある」ほんとうの××者の方に申し訳ない。

だじゃれ、下ネタ、武勇伝

雪が降ると、「お、いいねぇ、俺の季節だね〜!ゆきずりの恋」とくる。

雨が降ると「散々悪さしてきたから、槍に降られても文句は言えねぇなぁ」

「ダンスの発表会があるんだが、車で行くって行ったら、女房に危ないから電車で行ったらって言われちまった、帰りおねぇちゃん乗せて帰ろうって魂胆がバレてんだよ。」

たぶんそんなにもてやしないし、悪さもしてないのだ。むしろ、恐妻家で愛妻家である。それが証拠に娘や孫の話になると途端に眉毛が下がる。三社祭のイメージもあって浅草の男は威勢が良さそうだが、良いのは祭の時の威勢だけである。実際そんなに自由気ままに生きてるかといえば、むしろまったく逆である。住んでる人間同士の怒鳴り合いなど見たことがない。

口は悪いが憎めない

とにかく口が悪くて「不適切にもほどがある」爺さん達なである。それでも憎めないのは、人の陰口がないからだ。ほとんどの話題は作り話、全てバーチャル、嘘と思うか、物語と思って聞くか、もしかすると、高度な言葉遊びをしているのかもしれない。おかげで飽きずに通えるので、私にとっては落語以上の娯楽である。

やいやいする鳥獣戯画的な動物のイラスト
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