7年ぶりにMac派行政書士の悲劇〜「窓の壁」
7年ぶりというのは、7年前に同じタイトルで短い記事を書いているからだ。当時の事務所では私一人だけが、Macを使っており、複合機の設定に苦労したときのことを記事にしたのだ。あれから7年、行政は相変わらずの熱心なMS教信者である。とはいえ、昨今は多少過ごしやすくはなってきた。ところが、そう思っていたやさき久しぶりに「窓」ならぬ「壁」にであったのだ。壁の窓ではない。「窓の壁」である。今回はその話である。ちなみに、少々オタクっぽい話題ではあるので、あしからず。
最近ではPrallelsというMac上でウィンドウズを動かすソフトも安定してきたし、民間に関して言えば、クラウドサービスが増えたおかげで、ほとんど気にすることなく過ごせていたはずなのだが、なんと大手都市銀行のネットバンキングでこの「窓の壁」にぶつかったのだ。
本題に入る前に、Macでぶつかる行政の「窓の壁」を少しご紹介しておく。これから行政書士になる皆さんのなかに、Mac派の方がいたら、参考にしていただきたい。ちなみに、私の愛機は、M1搭載のMacbook Airで、Prallels上でWindows11が動いている。
法務局の窓の壁
法務局は、基本は司法書士の持ち場なので、私たち行政書士が法務局に直接何か申請する機会はさほど多くはないのだが、それでも、履歴事項全部証明書の取得は頻繁に行うし、株式会社の設立では、公証役場に電子定款を送付するために、法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を使う。
ところが、これが窓仕様である。
Prallels上でWindows11が動いているのだからどうにかなりそうと思うかもしれないが、そうはいかないのだ。私の電子署名は、SECOMが発行する行政書士専用のもので、Adobe AcrobatとSky PDFが推奨されている。Sky PDFはWindowsでしか動かず、AdobeはMac版があるのだが、Windows版はPrallels上で動作しない。MacのM1は、ARMのプロセッサーである。ARM上では、Sky PDFもAdobeのAcrobatも動作しないのだ。つまり電子署名をしたければMac版のAcrobatしか選択肢がない。
ところが、少し紛らわしい。法務局は、Acrobat用に、電子署名のプラグインを提供している。よくよく冷静になってみればわかる話なのだが、一見、このプラグインが必須のように思えてしまうのだ。実は、これがなくても電子署名は可能である。
つまり、Mac版のAdobeを入れれば、電子署名はできるのだ。あとは、法務局の「登記・供託オンライン申請システム」がARM上で動作するかどうかである。結局、「登記・供託オンライン申請システム」は問題なくARM上で動作し、まずは、ほっとひと息なのだが、あってもなくても良さそうな電子署名プラグインのおかげで、けっこうな遠回りをさせられた。
入管の窓の壁
入管もようやくオンライン申請をはじめた。これはなかなか便利である。まだまだ、手間はかかるが、それでもわざわざ出向くことに比べればはるかにましだ。基本、1件ずつ入力しなければならないのだが、一括入力のために、入管がエクセルシートを準備してくれている。ところが、こいつがMacでは動かない。ActiveXを使っているせいか、Prallels上のWindows11ではなんどやってもエラーがでる。試しにWindowsマシンでやってみると、あっさり完了した。
他にも、建築業、遺言相続など、行政書士向けの申請アプリはけっこう開発されているのだが、まぁ、ほぼほぼ窓仕様である。
コールセンターと赤壁の戦い
その銀行(赤い銀行と呼んでおく)の口座は、それほど入出金がないので、今まで、その口座の受払だけは手入力をしていたのだ。だが、さすがに馬鹿馬鹿しくなって、APIでマネーフォワードにデータを飛ばそうと考えたわけだ。申込のためコールセンターに電話をして説明を聞いてわかったのだが、なんと2019年にようやくMacに門戸が開いたらしい。
相当出遅れていると思いつつも、まぁ、使えるならよしと思ったら、まだ続きがあった。Macで振込はできるが、API連携はできないという。しょうがないので、あまり乗り気はしないのだが、Windowsで申し込むことにしたのだが、これまた、PararellsのWindowsでは動作保証をしないという。結局諦めて、青い銀行に乗り換えることになった。三国志でもあるまいし、赤い壁と戦うとは、、
自前で事件簿作ってみた
Macbook、 iphone, ipad, Apple watchは相変わらず、私の良き相棒である。そして、残念なことに今も、Mac派は間違いなく虐げられている。それでもやっぱりあのインターフェイスの便利さはやめられない。
ちなみに、行政書士の事件簿もスタンドアローン版が無料ででているが、窓仕様である。ということで、自前でクラウド版を作ってみた。クラウドに余裕があるうちは無料で提供するので、よろしければ使ってみてください。