路面店と行政書士事務所のマーケティング

減っていく路面店

以前、 行政書士のビジネス面について書いたが、ちょっと視点を変えて、もう少しこの話を書いて見ようと思う。

多くの路面店が厳しい状況にある。例えば、肉屋、魚屋、八百屋である。私の住む浅草には古い商店街がかろうじて残っているが、それでも昔ながらのお店は数えるほどである。ほとんどの人はスーパーで買い物をする。

減っていく路面店

例えば書店がそうである。昔はどの商店街にも本屋とレコード屋は2,3件はあって、そこをぐるぐる回るのが楽しみであったりした。あっちにはなかったけど、この本屋にはあったというような発見する楽しみがあったのだ。今や、出版されている本はAmasonにほぼ網羅されている。残っている路面店はほとんどが大規模店である。便利さの代償に新しい出会いという楽しみが減るのは、本に限らず情報化社会に共通する。

化粧品屋もだ。デパートのテナントかネットでの購入があたりまえである。シーズンごとに新しい楽曲を世に送り出し、新人モデルを登場させた資生堂ですら、テレビ広告はほとんどうたなくなった。お店でメイクをしてもらって試し買いをする人もほとんどいなくなった。昔は、新作広告の直後は列ができたそうだ。

許認可が規制緩和でなくなった業種もある。米屋、酒屋などがそれだろう。実は、行政書士の業務でも規制緩和でなくなったものがある。かつて自動車免許の更新のときに、写真をとってくれ、申請書の準備をしてくれていたのは行政書士事務所であった。

個性的な路面店は生き残っている

ネットや商業施設内の小売店が増えていく中、路面店はどのように生き残っていくのか。路面店がすべてなくなって、大規模店だけしかない世の中にはならないだろうが、昔ながらの路面店がそのまま残っていくことも考えられない。路面店が減っていく一方、個性的な路面店がある。

料理好きの私は、オリーブオイルの専門店やワインの品揃えのよい酒屋などを見つけるとわくわくする。食器や台所用品のお店なども、あれやこれやを手に取りながら、時間を潰すことができる。

こういうお店は、どうして人を引きつけるのだろうか。まず良い商品がなければ話にはならない。あまり取り扱いのない商品があることも得点が高い。ところが現代の流通においては、よほど希少価値のあるレア物はともかく、比較的どんな商品も入手しようと思えば入手できてしまう。実は、気に入っているお店の商品をみると、必ずしもそこでしか買えないわけでもない。調べてみたらアマゾンで買えてしまっとというようなこともある。ということは、どこにでもある商品だとしても、組み合わせや、提案で独自な商品に見えてくるのだろう。だとするとセレクトにポリシーがあることが重要だろう。オーナーのこだわりを通じて新たな出会いや発見があると楽しくなる。

行政書士業務の場合はどうだろう

商品=取扱業務である。行政書士の作成できる書類は何万種類などとよく言われるが、実はメジャーな業務がある。許認可でいうと「建設、不動産関連」「風俗」「運輸業」私のやってる「入管」などである。ほかにもいくつかあるが、そういうメジャーな業務に全く手をつけずに飯が食えるかというと、かなり厳しい。必然的に似たような品揃えになる。インターネットで広告をうつ事務所は、安い報酬や、速い着手を売り物にする。だが、安い単価で競争をするのは、忙しいばかりで少しも美味しくない。「最短一日で着手」など、「最短」なので怪しいものだし、そもそもそんな暇な事務所だと思われたくもない。単価をさげずに、そこそこ受任をしたいわけである。


結局は、どこまで個性化できるか


無味乾燥と言っても良い行政書士の品揃えをどうやって、個性的な路面店のようにみせるのか?ここが、頭のひねりどころである。つまり、ブランド作りということになる。私の事務所の場合は、徹底して浅草に集中して展開しているが、それでも、まだ何かたらないかなと思いながら、あれこれ、頭をひねっている。場合によっては、せっかく作ったものをゼロにしてやり直すことも必要だろう。行政書士は50,000人を超えた。その中から選んでもらうのも大変である。しかし、行政書士の業務というのは、多くの人にとって、なければないでどうにかなるわけである。そういう人に興味をもって店内に入ってもらうことができるかどうかも、大事な要素だ。それがないといつまでたっても裾野がひろがらない。行政書士会は「街の法律家」としてのアピールを頑張っているが、行政書士の知名度はあがっていかない。どんなマーケティング手法があるのか、まったく行政書士とは無縁の方の意見というのも、もっと聞いて見たい気がする。

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