事業再構築補助金と成長マトリックス

 史上最大規模といわれている事業再構築補助金が話題です。この補助金はその名の通り、従来の事業を組み立て直して、新たな出発にするための資金を補助してくれるというものです。再構築の定義は明確に示されていて、「新分野展開」、「事業転換」、「業種転嫁」、「業態転換」、「事業再編」の5つに分類されています。


このうち、「事業再編」はいわゆる会社法上の組織再編を指します。他の4つについてもそれぞれ明確に定義が示されています。事業展開は産業分類で大分類の変更、業種展開は中分類、小分類の変更、新分野展開はそれらを新たに追加すること、そして業態変更は新たな商品の製造方法、提供の方法などへの変更です。定義を読みながら思い出したのが、アンゾフの「成長マトリックス」です。

市場
既存新規
製品
既存市場浸透市場開拓
新規製品開発多角化

この中で、市場浸透は対象にはなりません。既存マーケットに新製品を送り込む「製品開発」はケースによっては「業態転換」の対象となるかもしれません。また、身近なところで思いつくのは飲食店が、専用商品を開拓し、テイクアウト専用窓口で販売するというようなケースが考えられます。「市場開拓」にあたると思いますが、これも「業態転換」でしょう。

残る3つは、産業分類をまたぐという条件がついています。そこで、大胆な事業展開をしなければならないということになります。そう見ていくと、この補助金の求めている「新分野展開」、「事業転換」、「業種転嫁」とは多角化、もしくは全く違うビジネスに業種替えするような事業展開とということに思えてきます。しかし、この転換、新規事業への進出は容易ではなく、通常かなりのリスクが伴います。補助金がでるからといって、慌てて計画を練ってもうまくいくとは思えません。多角化戦略はリスクがもっとも高い戦略です。実際に、却下された事例をいくつか見ましたが、現実性にかけるという指摘がされています。しかし、うまくいけば新たな柱ができ、リスク回避を可能にする戦略でもあります。

サントリーや富士フイルムが薬の分野に進出するケース、トヨタが金融や住宅に進出したのが思い出されますが、結局、従来の取引、企業の経験というバックボーンがあっての話であるというのは、他の補助金とかわらないようです。

久しぶりに、経営学の勉強をしたくなりました。ここ数年の、私の愛読書です。この本のおかげで、随分勉強させてもらいました。おかげさまで、緊急事態宣言ということもあり、時間はたっぷりあります。もう一度読み直してみようと思います。
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