東京都の時短要請についての雑感

東京都の「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金」の算定方法が変わった。1日10万円以上の売上がある店舗の場合、売上の40%を支払うという。

浅草の飲食店の方々とはご縁もあり、いろいろな意見を聞かせていただく。時時、言われるのは、「突然お酒の販売をやめろと言われても、すでに何本も開けてあるワインはどうなるのか」といった、毀損が発生することへの不満である。店によっては、そこそこのワインを何種類もグラスで提供していることもあるだろうから、数万円の損害にはなる。

ワインならまだスタッフで飲むこともできるだろうが、高級な牛肉となるとさらに被害は大きい。

果たして、こういう毀損分は損害賠償の対象となるのだろうか。そこで問題になるのは、この協力金が何を補填しているのかという点である。仮に売上だとすると、原価も含んで支払っているので、すでに支払い済みということになる。一方で粗利益、貢献利益だというのであれば原価は支払われていないので、毀損分は支払の対象となるはずだ。

今回40%という数字が発表されている。飲食店の平均的な原価率は30%から40%と言われている。そうすると粗利ではない。もちろん100%ではないので、売上でもない。そうなると、やはり貢献利益の賠償であると思いたくなるのだが、残念ながら、東京都の申請受付要綱にはなにも書かれていない。結局「協力」の二文字で押し切られてしまっている気がする。

実は、これによく似た事例が東京電力の賠償業務でもあった。東京電力の賠償根拠は貢献利益である。貢献利益は売上から変動費を控除する。従って、販売できなくなった在庫は当然、別途賠償の対象であった。

当時は、被災された事業者の皆さんからは、冷たい計算と思われたと思うが、今思うと、ドンブリ勘定よりはましではないかと思えてくる。




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