行政書士事務所開業ラッシュ〜新規登録の後輩たちに〜第一弾:行政書士は食えるのか?

4月は開業ラッシュ

4月である、この時期は、行政書士事務所開業ラッシュである。なぜ、この時期が開業ラッシュかといえば、行政書士試験の時期とその後のスケジュールによる。行政書士試験は、11月の第1週もしくは2週目の日曜日に行われる。結果発表は翌年の1月末である。試験に受かっても、それだけでは行政書士と名乗ることはできない。行政書士と名乗るためには、行政書士会に加入しなければならない。強制入会が定められており、司法書士や税理士も同じだ。行政書士会に登録するためには、合格証書が必要で、合格証書が届くのは発表から1ヶ月後だ。つまりどんなに早くても合格証書を待ち構えて2月末にも申請をし、3月末開業という流れになる。事務所の準備などもあるので、一般的には、4月だろう。そんなわけでこの時期開業が重なるのだ。




 行政書士は食えるか?? 


さて、開業したものの、仕事が来ないという嘆きをよく聞く。それでは、そもそも行政書士は食えるのか?最初からすべきことが決まっている人はともかく、多くの人は主業務を何にするかという問題に突き当たる。何しろ、実務に関する知識は試験にまったくでてこないのだ。一方、行政書士の業務の裾野は滅法広い。建設、入管、産廃、風俗はじめとするさまざまな許認可業務、遺言相続、契約書の作成業務など、食っていくネタはたくさんある。ただし、これは、何を意味するかと言えば、仕入れができるということだ。商品を仕入れられたからと言って、売れるか売れないかは別である。事務所のロケーションもあるだろう、ネット戦略もあるだろう、売り手の能力もあるだろう。


仕入れただけではうれない!

さらにいえば、仕入れられた商品を良い商品にする能力も求められる。いわゆる独占業務というのは、「古物商許可申請という良い製品があるよ、これを仕入れて売ってみなよ」と言われているだけである。この製品をどのように売れる商品にまでもっていくかは、事務所をひらいた行政書士が自分で考えるしかない。どのように、顧客の問題解決に生かすのか、使えるのかというところをつきつめて、初めて商品になる。そして、次に、その商品を誰に、いくらで、どのように売っていくかというマーケティングの問題もある。


弱小後発の新人行政書士だが、、

さて、良い商品を見つけ、工夫をして、売らなければならないが、行政書士の既存の業務分野において、新人行政書士は後発なのである。 それでもチャンスはある。なぜなら、行政書士が頼りになるということを知らない人がほとんどなわけで、こんなサービスがあるなら使いたいという人が、まだまだたくさんいる。私の顧客でも、「こんなことなら最初から任せておけばよかった」言ってくれるかたも少なからずいる。つまり、行政書士に頼めば、これができる、あれができるということがわかっている人に売り込むときは、既存の競合があるということだが、まだまだ開拓し切れていない層がたくさんあるということだ。


行政書士も起業家である!

結局、「行政書士は食えるのか?」の答えは、「そいつ次第」である。 典型的な主業務を並べてみて、いつまでたっても仕事が来ないと言ってる人は、商品を提供してくれるメーカーが宣伝しないから売れないと言っているのに等しい。「行政書士は食えるのか?」ネットでよく見かける質問である。なかに行政書士じゃぁ食えないよ」ありがた迷惑なアドバイスをされたなどという嘆きも聞こえて来る。そういう記事を読むたびに「やったことのないやつにわかるか!」と思うのだが、食えずに廃業する人も多い世界である。行政書士業務は、自営型の排他的独占事業であり、これで食えなきゃ、そもそも起業に向いていない。


行政書士はタレントでもある!

誰にでも「強み」はある。TOEICが900点とか、運輸業界何年というのはわかりやすいが、それだけではない。最近では若い女性の行政書士も多く、華やかで仕事もとりやすいようだが、もちろんそれも強みだが、それだけではない。若い人には若い人の強みがあるし、ベテランにはベテランの強みがある。自分には、何もないと思っても、それなりに強みや、魅力はあるものだ。「人当たりが良い」というのも強みだろうし、口下手は弱みかもしれないが、「よく聞ける」ことの裏返しでもある。個性派タレントや悪役一筋の役者がいるように、自分を売り込む場所は必ずある。


行政書士はプロデューサーでもある!

行政書士としての自分を売るということは、自分自身をブランド化するということでもある。

歌手や、タレントが周りにいたからわかるのだが、彼らが必ずしも明るく前向きとは限らない。ただ、売れる人は共通して研究熱心である。自分の歌、演技、立ち振る舞いについてである。「あの人は私のことをどう思ってる」とか、「人の視線が気になる」のとは違う。伝えるべきことと、どのように振る舞えば、人が求めているものと、自分の理想がフィットするかを常に考えている。売れると言うことはそういうことだ。行政書士の場合、知識を身につければ仕事が来ると思っている人もいるが、どのように自分をブランド化するのかを考える努力も必要なのである。


この春開業した新しい仲間が、何年か後も活躍し、世の中の役にたっていることを祈ります。

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