金融庁がプロパーの無担保融資を促進させる?
金融庁が、地方銀行など地域金融機関の貸し出しを増やす施策に本格的に乗り出すとの報道がありました。良い取り組みだと思います。
http://www.asahi.com/articles/ASJB45HD5JB4ULFA024.html
中小企業や個人事業主の場合、そもそも都市銀行はお呼びでないので、地銀、信用金庫とのつきあいになるのですが、そういう場合ですら、担保提供か自治体の制度融資を利用するぐらいしか方法がないのが実情です。
このような取り組みでプロパーの資金が使えるようになれば、社会全体も、もう少しお金もまわるようになるかもしれません。
今回は、信用機関のデータなどもつかい、貸し出せそうなところを調べ、金融機関に指導を行うと記事には書かれていますが、その実効性に期待したいと思います。
ただ、その上で、多少懐疑的な意見をあえて述べておこうと思います。
まず起業してからの一般的な資金調達の流れです。自治体の制度融資と国民政策金融公庫などの公的融資が創業貸付の制度を用意しています。金利はかなり安いですから、まずその資金を借ります。
数年すると、いくらか返済がすすみ、資金が不足すれば、更に公的資金を借り換えるなりして資金を調達します。
この時点で、それなりの額が借りることができます。企業からしてみれば、より安い金利で借りたいので、まず公的資金を優先するのは当然のことです。
一方、貸す金融機関の側からみると、すでに相当の額を公的融資で借りている企業というのは、与信枠がほとんどない状況です。プロパーの資金を貸し付けるのに、金融機関が尻込みするのもわかるのです。
何をもってリスクヘッジをするのか。結局、知的資産のような、目に見えない資産をどのように評価するのかということになるのですが、これがなかなか難しいと思うのです。
金融機関は、従来から知的資産部分をまったく見ていないわけではありません。この企業は、どういう顧客をもっているのか、どういう製品をもっているのか、どういう技術をもっているのかについて、メインバンクは把握しています。それではなぜ、貸付が滞るか。
私自身、大した額ではありませんが、地銀、信用金庫からプロパーの資金を無担保で借りた経験が2度ほどあります。急激な成長は、急激な資金を必要とします。しかし、いずれも公的資金を全て借り切ったあとのことです。仮に、公的資金に交渉の余地があるなら、まずプロパーの資金には手をだしません。わざわざ、大事な与信枠を、高い金利のプロパー資金に回すはずがありません。
その時は、それでもなんとか貸していただきました。ただ、いずれのときも、その時の事業チャンスを説明するのに大変骨がおれました。最初のときは、顧客が一部上場会社であったため、事業の中身はともかく、顧客という知的資産で借りられました。
2度目はさらに苦労しました。音楽産業という、普通の方にはあまり経験のない業界での資金需要だったので、まず事業の内容を理解していただくまでに相当の労力を使った記憶があります。事業計画書、契約書はもちろん、顧客とのやりとりのFAXやメールまで見せて説得した記憶があります
そもそも、金融機関は、あまたある業界のプロではありえません。顧客の事業内容を理解できなくて当然なのです。日頃、経営者と茶飲み話をして情報交換をしている地元の金融機関ですらわからない事業について、金融庁が正確に把握できるのか、正直なところどうしても懐疑的な思いを払拭できないのです。
結局、資金を金融機関から引き出せるかどうかは、経営者が事業の見通しをいかに説明できるかと、最終的には情熱です。
こう考えて行くと、社会全体が事業や投資に対する考え方を大きく変えられなければ、難しいと思うのです。逆に言えば、こういう試みを繰り返すことで何かが変わるという考え方もあるので、そういう意味では、頑張ってほしいと思います。
記事元
http://www.asahi.com/articles/ASJB45HD5JB4ULFA024.html
http://www.asahi.com/articles/ASJB45HD5JB4ULFA024.html
中小企業や個人事業主の場合、そもそも都市銀行はお呼びでないので、地銀、信用金庫とのつきあいになるのですが、そういう場合ですら、担保提供か自治体の制度融資を利用するぐらいしか方法がないのが実情です。
このような取り組みでプロパーの資金が使えるようになれば、社会全体も、もう少しお金もまわるようになるかもしれません。
今回は、信用機関のデータなどもつかい、貸し出せそうなところを調べ、金融機関に指導を行うと記事には書かれていますが、その実効性に期待したいと思います。
ただ、その上で、多少懐疑的な意見をあえて述べておこうと思います。
まず起業してからの一般的な資金調達の流れです。自治体の制度融資と国民政策金融公庫などの公的融資が創業貸付の制度を用意しています。金利はかなり安いですから、まずその資金を借ります。
数年すると、いくらか返済がすすみ、資金が不足すれば、更に公的資金を借り換えるなりして資金を調達します。
この時点で、それなりの額が借りることができます。企業からしてみれば、より安い金利で借りたいので、まず公的資金を優先するのは当然のことです。
一方、貸す金融機関の側からみると、すでに相当の額を公的融資で借りている企業というのは、与信枠がほとんどない状況です。プロパーの資金を貸し付けるのに、金融機関が尻込みするのもわかるのです。
何をもってリスクヘッジをするのか。結局、知的資産のような、目に見えない資産をどのように評価するのかということになるのですが、これがなかなか難しいと思うのです。
金融機関は、従来から知的資産部分をまったく見ていないわけではありません。この企業は、どういう顧客をもっているのか、どういう製品をもっているのか、どういう技術をもっているのかについて、メインバンクは把握しています。それではなぜ、貸付が滞るか。
私自身、大した額ではありませんが、地銀、信用金庫からプロパーの資金を無担保で借りた経験が2度ほどあります。急激な成長は、急激な資金を必要とします。しかし、いずれも公的資金を全て借り切ったあとのことです。仮に、公的資金に交渉の余地があるなら、まずプロパーの資金には手をだしません。わざわざ、大事な与信枠を、高い金利のプロパー資金に回すはずがありません。
その時は、それでもなんとか貸していただきました。ただ、いずれのときも、その時の事業チャンスを説明するのに大変骨がおれました。最初のときは、顧客が一部上場会社であったため、事業の中身はともかく、顧客という知的資産で借りられました。
2度目はさらに苦労しました。音楽産業という、普通の方にはあまり経験のない業界での資金需要だったので、まず事業の内容を理解していただくまでに相当の労力を使った記憶があります。事業計画書、契約書はもちろん、顧客とのやりとりのFAXやメールまで見せて説得した記憶があります
そもそも、金融機関は、あまたある業界のプロではありえません。顧客の事業内容を理解できなくて当然なのです。日頃、経営者と茶飲み話をして情報交換をしている地元の金融機関ですらわからない事業について、金融庁が正確に把握できるのか、正直なところどうしても懐疑的な思いを払拭できないのです。
結局、資金を金融機関から引き出せるかどうかは、経営者が事業の見通しをいかに説明できるかと、最終的には情熱です。
こう考えて行くと、社会全体が事業や投資に対する考え方を大きく変えられなければ、難しいと思うのです。逆に言えば、こういう試みを繰り返すことで何かが変わるという考え方もあるので、そういう意味では、頑張ってほしいと思います。
記事元
http://www.asahi.com/articles/ASJB45HD5JB4ULFA024.html